静かな時間が流れています。
ここだけ時間がとまっているかのように、ゆっくりです。
・・・これが、さよ子さん(仮名)のペースなのです・・・
しばらくすると、先生がいつものように部屋に入ってきます。
補聴器をつけた耳元で、「先生、来たよぅ」と、ゆっくりとした口調で伝えます。
さよ子さんは、入り口の方に顔を向けて目を開けました。
先生が「こんにちは」と言うと、わずかに頷いて、顔を見ています。
そして、目を閉じました。
先生がベッドの左横に腰を下ろし、さよ子さんの左手をそっと握ります。
私がベッドの右側。。。娘さんが足元。。。 定位置です。
(何も話さず時間が流れます)
鳥のさえずりが、時折 聞こえてきます。
開いている窓から、心地よい風がふわーっと入ってきます。
窓の外は、庭木のかげで、木漏れ日がやさしくそそいでいます。
(時々、娘さんとぽつぽつとお話をします)
さよ子さんは、目を閉じたままです。
さよ子さんとの時間。。。一緒に過ごします。
------------------------ 沈 黙 ------------------------
さよ子さんに声をかけます。
先生は「さよ子さん、また来るね」と。いつも通りです。
閉じていた目が、、、、、、ゆっくりと開きました。
少しだけ、手を握って。。。 先生と娘さんが先に部屋を出ます。
「またね。。。ありがとう」と。 さよ子さんの手にそっと手を重ねて、、、私も部屋を出ます。
一緒に過ごせるこの時間に、感謝です。